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西洋絵画の巨匠100(最終回)

ようやく今回で最終回。これまで100人の西洋絵画の巨匠を列挙してきましたが、当然偏りもあるでしょう。そしてまだまだこのあとに続く巨匠もいるでしょう。
そこは皆様の興味関心に委ねましょう。西洋絵画に限らず美術は本当に多様な展開をしているのですから。

今回はシュルレアリスム、アンフォルメルから抽象表現主義まで。戦後までを一応の括りとします。
その後のポップアートなどは、いつかまた…。

96 マグリット
ベルギーの画家。シュルレアリスムを代表する画家。
この簡潔で分かりやす過ぎるくらいの表現様式とそこに含まれるイメージのバランスは、すんなりと観るもののなかに入ってくる。
写実過ぎても表現的過ぎてもいけない。そのあたりがすごく絶妙。
「光の帝国」のように、一見自然な眺めの中から、違和感と共に新たなイメージをグッと沸き上がらせるその手法は、何気なく捉えている日常に対し、新たな視点や発想というものを投げ掛けさせる。
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97 デュビュッフェ
フランスの画家で、オブジェや空間表現も手掛ける。
アンフォルメルの画家ではあるが抽象的な表現に留まらず、この「暴動」のように、重厚な絵肌に原初的な人物像を荒々しく描き出した。
そこでは従来の伝統的な西洋絵画の価値観を批判、否定し、新たな美術の流れを切り拓こうとする力強い意志が感じられる。
とは言うものの、今ではしっかりと西洋絵画の流れに組み込まれている。
これまでの価値観を問い直すことが当たり前の行為になってしまったというのは、皮肉です。
また、今でいうアウトサイダーアートを見出しました。
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98 ロスコ
生まれはロシアだが、アメリカで育ち活躍した抽象表現主義の画家。
この時代の流れだけれど、シュルレアリスムから具体的な事象ではないものへの関心が高まり、抽象表現主義へと展開。
このシーグラム壁画のための「壁画no.4のためのスケッチ」のように、巨大な画面のサイズの中で曖昧な矩形が浮かび上がるカラーフィールドペインティングは、宗教的とも言える空間を作り出す。
そこでは作品を前に鑑賞するというより、作品に覆われて体感、対峙するというのに近い感覚。
千葉県の川村記念美術館のロスコ・ルームは必見(必感?)です。ぜひ。
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99 ベーコン
アイルランドの画家。専門的な美術教育は受けておらず、独学で絵画を描き始めた。
主な題材は自画像や写真、「ベラスケスの教皇イノケンティウスⅩ世像による習作」のように名画から引用した人物だが、その形態は歪み捻られ、グロテスクなまでに変容している。
暴力的なイメージ、薄気味悪さが観ることを拒んでいるように思えてならないが、それとは対照的にその絵画空間は簡潔で美しい。だからこそ奇妙な感覚と違和感が余計に沸き起こるのだろう。
また、アトリエの様子も写真に残されているが、絵具をぶちまけたような…という言葉では片付けられない様相です。
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100 ポロック
アメリカの画家。ロスコ同様、シュルレアリスムから抽象表現主義へと展開した。
床に置き広げたキャンバスに絵具を滴らせたアクションペインティングは、その行為自体も重要。「秋のリズム」のような大作を前にすると、知らず知らず行為の追体験を迫られるかのようです。
一見すると偶然性にまかせただけのように感じるが、映像に残された制作の様子を観ると、しっかりとコントロールした表現であることは間違いないようです。
この抽象表現主義によって、美術の動向はヨーロッパからアメリカへと大きく動き出すことになります。
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…完…
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西洋絵画の巨匠100(第19回)

いよいよ大詰め。形而上絵画からシュルレアリスムまで、目に見えない事象を描くという20世紀初頭の芸術、思想の流れがあります。

91 キリコ
イタリアの画家。形而上絵画の代表的な存在。
作品の多くに「街角の神秘と憂鬱」でもみられるような、何かを暗示させるかのように長く引き延ばされた影法師や無人の建造物などが記号的に登場する。それは観るものを自身の心の内側へと誘っているかのようです。
ここからシュルレアリスムへの影響というのは容易に想像できる。
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92 シーレ
前述のクリムトとともにウィーン世紀末芸術の代表的な画家。
油彩画よりも圧倒的な魅力を放つのが大量に描かれた素描。陰影を排除した独特の彩色と線を巧みに駆使したその表現には、何かが宿っているかのようです。
また「自画像」をはじめモデルのポーズも独創的で、現代においてもマンガ作品に多大な影響を与えている。
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93 モランディ
イタリアの画家。初期には前述のキリコの影響を感じさせる形而上絵画を描くが、やはりモランディといえば「静物」。
題材は酒瓶や花瓶、箱などに限られていて、さらに配置の仕方も中央に寄せるか水平に併置するだけ。その静謐極まりない程の静物画は、形而上絵画の時よりもその事象の向こう側、奥深くへと引き込む力がある。
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94 エルンスト
ドイツ出身のシュルレアリスムの画家。
コラージュ(貼り合わせ)や、「少女がみた湖の夢」で用いられているデカルコマニー(転写)、フロッタージュ(擦り出し)などの技法によって偶然性や意外な組み合わせを見出し、夢や幻覚など意識下の領域を幻想的なイメージで描き出した。そこには幼少期の体験や幻覚が色濃く反映している。
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95 ミロ
スペインの画家。シュルレアリスムの画家と分類されるが、オートマティスム(自動筆記)を用いた表現によるところが大きい。
でもそこに描かれたイメージは限りなく自由気ままで、意識/無意識すら大きくこえたところで存在しているかのようです。
この「農園」は、そんな自由な羽ばたきを見せる前、ミロ独自の写実絵画初期の作品。作家ヘミングウェイが購入した作品として知られている。
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西洋絵画の巨匠100(第18回)

今回はエコール・ド・パリから表現主義そしてダダと多彩な顔ぶれ。
哀愁感から、激しい情動、愛、そして運動と時間まで作品に込められたものも多彩です。

86 モディリアーニ
エコール・ド・パリの画家。彼の描く独特なフォルムの人物表現は、セザンヌの影響を感じさせる造形性、モデルの心理描写、裸婦像では官能性まで、キャンバスの地が覗くほどの簡潔な表現にも関わらず、その濃度は高い。
この画家の生涯唯一の「自画像」。その穏やかで軽く笑みも感じさせる表情は、その数日後に訪れる彼自身の死をなぜか予感させる。
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87 パスキン
こちらもエコール・ド・パリの画家。淡い色調で裸婦や少女を多く描く。
その画風は、アルコール依存のせいか分からないけれど震えるような柔らかなトーンが特徴で、独特の哀愁を感じさせる。
先述のモディリアーニもそうだけれど、当時最先端のキュビズムと一線を画したこの画家たちの作品は、とても親密なモデルとの関係性が感じ取れる。ちなみに「テーブルに座るルーシー」は友人の妻。ということは…。
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88 ココシュカ
オーストリア・ウィーンの画家。表現主義の特徴である激しい筆致、強烈な色彩を駆使し、肖像画や風景画を手掛ける。
この「風の花嫁」は、かの有名な作曲家マーラーの未亡人と画家自身が描かれている。精神の内面を反映させる表現主義の掟?に従い、二人の関係が変容していく様がたっぷりと塗り込められた作品。
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89 シャガール
ロシア出身の画家。妻ベラを一途に愛し、愛や結婚をテーマにした作品や、宗教的、幻想的な作品を多く残すが、そこには当時の社会情勢からユダヤ人であることの影響が根底に見え隠れする。
とは言うものの、この「誕生日」は、最愛の妻ベラに花束をプレゼントされた心のうちを、秀逸なデフォルメで描いた心温まる作品。
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90 デュシャン
フランスの画家、というよりも芸術の時代の流れに「デュシャン以前/以後」という明確な一本の線を刻んだアーティスト。
この「階段を下りる裸体no.2」を契機に絵画制作から離れ、レディ・メイドという既製品を用いた作品制作に向かいます。それでも彼が見切りをつけたこの作品、絵画という2次元に、運動と時間という3次元の要素そのもので描こうとした取り組みは、やはり革新的です。
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西洋絵画の巨匠100(第17回)

この時代、二十世紀美術の巨人が登場し「キュビズム」という革命を起こしました。「概念」を表現するこのキュビズムは同時代の多くの画家に影響を与えたことが伺えます。

81 レジェ
フランスの画家。キュビズムの影響を受けた時代にこの「結婚」などに見られるように小刻みに形態を解体する表現を展開。
その後、強い輪郭線と明快な色彩で人物や建築物をダイナミックに描くようになるが、その作品はどこかほのぼのとさせる。まぁ、レジェといえばキュビズム後の方が有名ですね。
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82 ピカソ
スペイン生まれの画家。その後世界を舞台に活動したといってもいいだろう。
ご存知このピカソが「キュビズム」で革命を起こし、その後も様々な表現様式で晩年まで時代を揺るがしながら多くの作品を生み出した。
この「ゲルニカ」、実際にスペインの美術館で観ましたが、画家の意思を絵筆によって訴えることができるということを実感。
個人的には、バブル期に日本に一時的に存在した青の時代の大作「ピエレットの婚礼」が今でも強く印象に残っています。
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83 ブラック
フランスの画家。
ピカソと共にキュビズムという概念の表現を試行錯誤していく。その後、二人はそれぞれの表現様式へと展開。
ピカソほど派手な展開ではないが、キュビズムをじっくり消化したブラックの「円卓」などの静物画や室内画は、じわっとくるセンスの良さが心地よいです。
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84 ボッチオーニ
イタリア未来派の画家であり彫刻家でもある。どちらかというと彫刻作品の方が有名か。
「弾性」をはじめダイナミックな躍動感を表現した作品で、絵画の様々な可能性を探っています。
未来派の中でも、躍動感の表現に関しては古くささを感じさせない画家ですが、その探求も大戦中の事故で彼の人生と共についえてしまう。
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85 ユトリロ
フランスの画家。酒に溺れ、その治療のひとつとして始めた制作で、ほとんど独学だそうです。
これまでの改革的な絵画の流れからすると、身近な風景を対象に描く事で独自の世界を開く事が逆に新鮮。
パリ、モンマルトルの風景「コタン小路」は、重厚なマチエール表現の中で、突き当たりの階段を昇り空へとぬけていく直前で木々に遮られるという導線が、画家の心理を伺わせます。
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西洋絵画の巨匠100(第16回)

この時代は抽象度がどんどん高まり、純粋抽象にまで行き着く。当時としては斬新な、そして今からすると少し色褪せて見えてしまう変革の時代です。

76 モンドリアン
オランダの画家。
この「ブロードウェイ・ブギ・ウギ」など、原色を使い、垂直線と水平線で構成された具象性を排した作品は、抽象絵画のひとつの境地であろう。
しかしこの純粋抽象に移行する前の、キュビスムの影響を受けて樹や静物の連作を展開していた頃の方が、個人的には非常に興味深い。抽象化への教科書的な作品群と言える。
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77 マレーヴィチ
ロシアの画家。
このマレーヴィチもキュビスムの影響を受けた時代を経て、純粋抽象へと到達する。
シュプレマティズムを提唱し、対象の再現を拒否、純粋感性を絶対とする理念に基づいた非具象絵画を追求。
この「シュプレマティズム絵画」は、まだ色面で構成されたリズムやバランスを感じさせるものだが、最終的にこの絵画としての展開は、(こういう思想の特徴的な傾向でもあるが)白地に白の色面と言う極地にまでいってしまう。
他に同時代の建築やデザインにも影響を与えた。
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78 クレー
スイスの画家。
作風は、同時代の画家と同様、抽象的な展開を見せる。しかし抽象度を高めるというよりも、線的、記号的な要素を用いて詩的で幻想的な音楽を連想させるイメージ豊かな表現で、独自の世界感を生み出している。特にトーンの諧調がすばらしい。
この「パルナッソス山」は一見モザイク画のようだが、近付いて観ると一タッチごと丁寧に感受しながら描いている事が実感出来る。
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79 マルク
ドイツ表現主義の代表的な画家。
こちらも外観の再現ではなく、内面的な情動を表現する。強烈な色彩、ダイナミックな線的表現、フォルムのデフォルメなど、内面の情動がそんなに激しいものばかりなのか疑問もあるが、おそらく時代的背景も影響しているのであろう。
「チロル」は、激しい色彩のせめぎ合いの下で押しつぶされそうな家々によって、これがチロル地方の風景という事を示してくれる。画家は広大な風景を前に内面がこんな風に騒いだのだろうか…。
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80 カッラ
イタリアの画家。
未来派に参加し、後に形而上絵画へ、そしてノヴェチェント運動へと、様々な運動に参加し作風もがらりと変貌を遂げていている。
ちなみに形而上絵画というのは、現実の外観を再現するのではなく(この辺はこの時代の大前提と言える)、事象の背景にひそむ深遠な意味を探求するというアプローチ。どちらかというと静謐な世界で、表現主義とは大きく異なる。
一方でノベチェント運動はイタリアの国粋主義的な性格からファシスムへと繋がる。「アナーキスト、ガリの葬儀」は葬儀というよりも、どう見ても暴動の様相ですね、これ…。
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プロフィール

Author:アトリエ ヴィーナス
芸大・美大受験予備校&絵画教室です

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